創業期の拠点は「早すぎても遅すぎても損をする」判断です。この記事では、公的調査のデータをもとに、拠点にかけてよいコストの目安と、自宅からシェアオフィスへ移るべきタイミングを整理します。

データで見る創業期の状態
日本政策金融公庫総合研究所の2025年度新規開業実態調査によると、開業費用は平均975万円・中央値600万円で、長期的に少額化が進んでいます。「250万円未満」と「250万〜500万円未満」を合わせると4割を超えます。
開業時の平均従業者数は2.8人で、3年連続で3人を下回りました。調査時点でも平均3.9人です。つまり大半のスタートアップは、当面ひと桁の人数で動くことを前提に拠点を設計すべきだといえます。
開業時に苦労したことの1位は**「資金繰り、資金調達」で56.9%**。固定費を増やす判断は、この最大の課題を直接悪化させます。
4つの選択肢と向き不向き
| 選択肢 | 向いている状況 | 主な弱点 |
|---|---|---|
| 自宅 | 一人・来客なし・コスト最優先 | 住所公開、来客不可、公私が混ざる |
| 住所利用のみのサービス | 郵便と登記だけ整えたい | 作業場所・会議室がない |
| シェアオフィス | 2〜10人、来客や採用がある | 完全な専有空間ではない |
| 賃貸オフィス | 10人超、専有設備が要る | 初期費用と原状回復の負担 |
同調査では、主な事業所までの通勤時間が「1分未満」(自宅の一室・自宅に併設)の開業者が**28.0%**を占めます。自宅起業は現実的な出発点ですが、登記住所の公開や来客対応の制約が事業拡大の局面で表面化します。
判断を分けるのは、月あたりの固定費よりも「1年後に動かす前提かどうか」です。賃貸オフィスは初期費用と原状回復費が退去時にまとめて効いてくるため、事業計画が固まりきらない段階では、契約期間の短い選択肢のほうが総額で有利になる場面があります。
移行を判断する4つのサイン
- 採用を始めた:面接や初日の受け入れができる場所が要る
- 来客が月数回になった:カフェでの商談は情報管理の面で限界がある
- 自宅住所を登記している:住所は誰でも閲覧できる公開情報になる
- チームが3人を超えた:オンラインだけでは意思決定の速度が落ちる
2つ以上当てはまるなら、シェアオフィスへの移行を検討する段階です。逆に1つも該当しないなら、拠点への支出を先送りして資金を事業側に残す判断も合理的です。
移行を決めたら、席の増減条件と解約予告期間を先に確認します。予告は1〜3か月前が一般的で、次の拠点への切り替え時期を左右します。会議室が実際に予約できるかどうかも、内覧時に時間帯を変えて確かめておくと判断を誤りません。
なお、東京都と東京都中小企業振興公社の創業助成事業では事務所の賃借料が助成対象経費に含まれます。上限400万円・下限100万円、助成率は対象経費の3分の2以内で、対象は都内創業予定者または創業5年未満の中小企業者等です。要件確認には準備期間が必要なため、拠点検討と並行して進めてください。

まとめ
- 開業費用は中央値600万円、開業時の人数は平均2.8人。拠点はこの規模感に合わせる
- 開業時の最大の課題は資金繰り。固定費の増加は慎重に判断する
- 自宅・住所利用・シェアオフィス・賃貸は、人数と来客頻度で使い分ける
- 採用開始・来客増加・登記住所の公開・3人超の4サインが移行の目安
- 賃借料は創業助成事業の対象経費になり得るため、契約前に要件を確認する
登記や助成金の要件判断は、司法書士や各窓口など専門家への相談を推奨します。
BuD square(バドスクエア)について
千代田区に2拠点を展開するシェアオフィスです。法人登記対応・個室ブース完備・会議室利用可能。月額制のため、創業期の固定費を抑えながら来客や採用に対応できます。採用支援・AI活用支援も無料で付帯しています。料金・プランの詳細は公式サイトをご確認ください。
- 竹橋: 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町3丁目27-7(九段下駅・神保町駅 徒歩約4分)
- 市ヶ谷: 〒102-0074 東京都千代田区九段南3丁目8-10 靖国外苑ビル2F(九段下駅・市ヶ谷駅 徒歩圏内)
参考サイト
監修者
小田村 郷(bloom株式会社 取締役社長) 三井不動産リアルティにて売買仲介を経験した後、トーセイアセットアドバイザーズにて不動産AMとして不動産ファンド領域を経験。その後独立し、現在は不動産(シェアオフィス含む)・人材・AI事業を経営。

